プラハの中心を下を向いて散歩をしていると、ところどころ建物の入口近くの舗道で四角い形の金属のバッジのような変わったオブジェに気づくことがあります。これはおまじないでもなく、ガスや電気のマークでもなく、シュトルペルシュテイン（ドイツ語Stolperstein) と言われるものです。（ドイツ語でstolpernはつまずく、Steinは石の意味です）。
実はこれ、とあるドイツの市民団体が作成したホロコーストの犠牲者が住んでいた家を示すマークなのです。第二次世界大戦のときにはその家に暮らし、ある日忽然と家族ごと行方不明になり、強制収容所へ連れ去られたのです。たいていは片道の旅、戦後はほとんど誰も戻っては来ませんでした。つまりこの金属の石のマークはその碑なのです。
チェコにはもう１千年以上、多くのユダヤ人が住んでいます。チェコの文化の特徴はチェコ人、ドイツ人、ユダヤ人それぞれの３つの文化が混ざり合っていることです。チェコだけでなく全欧州で、右翼的な声が大きくなっている昨今（今チェコ国内政治を賑わせているBatora(バートラ）事件はその一例）、このシンプルな金属のマークは、もう一度そのことを考えさせる試みです。残念ながら多くのチェコ人も意味を知らないマークなのです。
Daniel Landa(D.ランダ)歌手は右翼と思います。
